第19章 好きだから許せない

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「でも、あの部屋に入って君たちが揉めながらも結局あれが始まった時。この子を絶対にこの連中とここに置き去りにして離れたりはしないぞってその気持ちだけははっきり決まってた。ここで怯んで後先考えずに逃げ出したりしたら、それ以降君がどうなったのか気になってどうしようもなくなるに決まってる。後悔するのは目に見えてたから…。どうにか最後まで見届けようと。結果君には…、あんな形で。ほぼ初対面なのに、失礼なことになっちゃったけど」 やっぱり恥じ入るような苦しげな色がその表情を掠める。わたしは慌てて遮った。だから、もう。何度も言ってるのに。 「気にしないでってば。どう考えてもこっちが悪いよ。ていうか、わたしは正直神野くんが招ばれてることも知らなかったし、まさか目の前であんな…、って寝耳に水だったけど。でも、高松くんたちがあんなやり方をしたのは少なくともわたしのためってつもりだったんだから…。責任がないとも言い切れないし。神野くんのしたことは、…しょうがないよ。男の子ならあんなの、…見てるだけなんて。それにわたしは」 嫌じゃなかったよ。と言いかけてちょっと耳が赤らむ。自分がこの人とその時何をしたかフラッシュバックのようにリアルに蘇ってしまいそうだ。それから、そのあともお互い離れがたく関係を続けていることも。 なんていうか、これは微妙な問題を孕んでいるな。そう感じて居住まいを正す。     
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