最高の言葉

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 奥さんにバレた理由はスマホだった。スマホでのメールのやり取りを見たらしい。酔って寝てしまった時、指紋認証でスマホを解除した。まるで、ドラマじゃん的なことが現実であって聞いた時、呆れてものが言えなかった。  脩ちゃんはとても多忙になった。それでもなんとか、騙し騙し、あってはきたが、連絡は減って、メールの返事も来たりこなかったりが続いた。  ダメなのかな。そう、思って、ダメだし、もういいや、そう思って、嫌われているならそれでもいい、そう思って、脅迫めいたメールを送ったのだ。  仕事が終わって部屋にいたあたしは、だんだんと薄暗くなってゆく中でメールを待った。 『ちゃん、ちゃん、』  え?  あたしは電話が鳴ったのでびっくりして飛び起きた。  ディスプレイに映し出された名前は、脩ちゃんだった。 「は、はい」  恐る恐る電話に出る。 「おい。脅迫メールはダメだし」 「だって、そうしな、」  まで、言ったら、アパートのドアが急にあいて脩ちゃんが入ってきた。実に会うのは2が月、いや、3が月ぶりだった。 「ええ?」  本当にびっくりすると声が出なくなる。 「きた」 「きたね」 「お前さ、無用心だよ。鍵あいてたから」  脩ちゃんはあたしの前に座った。その横顔がとても懐かしくまた、愛おしかった。 「ねぇ、脩ちゃん。あたしたちってさ、もうダメなのかな」  寒い日だった。脩ちゃんからはおもての夜の冷気の匂いがした。少し温まってきた頃、脩ちゃんは顔をもたげた。 「ごめんな」  ごめんな。やっぱり脩ちゃんは今夜清算をしにきたのだ。そう思ったら、胸が熱くなったけれど、覚悟はできていたから涙は出なかった。 「そっか」  少しだけお互いの近況を喋ってから、本題に入った。 「もうね。合わないよ。苦しめたね」 「ええ。そうとう苦しんだわ。すっかり30歳になったわ」  嫌味も可愛く聞こえたのか、脩ちゃんは、クスクスと屈託なく笑った。 「笑わないで。笑顔なんで見せないでよ。あたしは今でも脩ちゃんが好きなのよ」  なんだの、あーだのと脩ちゃんに爆弾のように言い放った。 「だから、それがもう俺の中で重いんだよ。わかるだろ。俺のことが」  喉がとても乾いていて唾すら飲み込めない。 「じゃあ、もうあたしのことが嫌いになったってこと」  脩ちゃんは首を横に振って、
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