第一章 追憶と再会

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……ギシッギシッ……  ベッドの軋む音。交じり合う激しい男女の吐息。  十二畳ほどの部屋。明りは鈴蘭を象ったアンティーク調のランプのみ。ベッドの 備え付けの棚の上に備え付けられている。部屋の真ん中に陣取っているのは赤紫色 の乱れたシーツが敷かれたダブルベッドだ。シーツの乱れは、ベッドの上で絡み合う 一組の男女の激しい行為を物語る。その部屋は天井も壁も、床以外は全て鏡ばりだ。  女は快楽の波に身を任せ、薄っすらと目を開ける。天井に映るは、男の首筋に両腕を 絡め、両足を開き男の腰に足を絡める自らの姿。男の律動に合わせて淫らに腰を動かし、 激しく喘いでいる。そんな自分が恥ずかしくて、顔を左に向ける。そこでも、激しく腰を 突きあげる自らの姿が移る。 ……なんていやらしい。まるで盛りのついた雌猫のようだわ……  と自らの行為を恥じた。同時に子宮の奥が熱くなり、じわりじわりと蜜が溢れ出す。 「……(ひじり)……愛してる!」  男は掠れた声で、息も絶え絶えに女の名を呟き、より一層激しく腰を打つ付けた。 「あっ! か、かず……ま……」  女は途端に頭の芯が白濁する。そして花芯が男の象徴を咥え込み、花肉が ヒクヒクと打ち震えた。何もかも忘れ、快楽の渦に呑み込まれて行く。 ……ギシッギシッギシッギシッ……  ベッドの軋む音が激しくなり、ランプの下に置かれているプラチナのリングが 二つ、微かに揺れた。
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