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「最近激しいな。何か心境の変化か?」
聖の夫、一は妻を左腕に引き寄せ、右の手でその髪を撫でている。情事の後
は、いつもこうして夫婦でまったりと他愛ないおしゃべりを楽しむのが日課だ。
「い、嫌だ、激しいなんて……」
途端に聖は赤くなって、夫の胸に顔を埋める。一はそんな妻が愛おしくて、抱きしめる腕に少し力を込める。
……知られてはならない。夫には絶対に……
聖は肝に命じていた。家庭で守られる安定した幸せ。何不自由なく暮らせる事。
この御時世、とても贅沢だと思う。そして最愛の息子も授かって……。別に、何か
不満がある訳では無い。だから決めたのだ。誰にも知られない。誰も傷つけない、と。
どこかに後ろめたさがあるのだろうか。和真と体を重ねるようになって以来、
確かに積極的に夫との情事では奉仕するようになって来ている。
今時古風な程に受け身、従順な聖。一はそんな聖に心惹かれ、自分が
一生をかけて守り抜こうと決意したのだ。何故なら、聖に取って初めての男となった
から。彼女を最後の女にしよう、そう決意して結婚したのである。それは今も
変わらない。
「子供を生んで、毎晩のようにあなたに可愛がって貰って。きっとね、少しずつ
開発されて来たのよ。女は中年になってからの方が感じやすい、て言うじゃない?」
と恥ずかしそうに夫を見上げた。
「上の口と、下の口。その両方が、か?」
一は嬉しそうに答える。
「その他も、色々よ」
意味有り気に微笑み返す聖。一は自分の象徴が再び熱く猛り出すのを感じた。
欲望のままに、妻を仰向けにする。
「もう一度、味わいたい」
じっと妻を見つめ、その熟れたような葡萄のような唇に吸い付く……。
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