第三章 罪悪と獣欲の罠

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……不倫する女や男側に言わせると、夫や妻に新鮮味が無くなった。子供のお父さんあるいはお母さんにしか見えなくなった。太って魅力が感じられない、とかで刺激とときめきが欲しい、恋がしたい、それで浮気に走ったとか書かれていたわね。それは確かに、浮気される側にも傲りや油断、気の緩みはあったかもね。でも、じゃぁ逆にお前らはどれだけ配偶者の為に異性でい続ける努力をしたの? と聞いてみたい気分だわ。 結局、人のものであるものを奪って優越感に浸ってるだけ。例えば、こうよ。誰かが希少価値の高い幻の宝石の指輪をしていた。欲しくて堪らないから、その人が指輪を外した瞬間を見計らって盗んだ。これは私のもの。盗まれる方が悪いんだもーん、と言ってるのと同じ。要するに泥棒よ。それを悲劇のヒロインに置き換えたりして酔っているだけ。 そもそも、結婚した相手を貫き通せないやつなんか、奪ったってそのうち他の異性に現を抜かされるのが関の山よ。末永く上手く行くケースなんて稀よ……  今夜は興奮して眠れそうにない、と掲示板など見なければ良かったと後悔つつ、隣の夫の寝顔を見つめる。  よく眠っているようだ。軽く憎悪の気持ちが湧くくらいに。 ……そう言えば和真は私と別れたら、当然今のエリートコースから外される事、知っていて不倫してるのかしら……  清夏はふと、疑問に思った。
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