第3章

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バスタオル一枚で扉を開いた僕の前に 彼は当然のように立ち塞がる。 「わお。こんなに近くでシャワーを待っている人は初めて」 僕はわざと砕けた調子で笑って見せるけど。 面白くないな――。 この手の事に慣れてるか むしろ確信犯。 湯気が立ちこめるバスルームで 真直ぐ僕を見つめたまま――アイスブルーの瞳は沈黙する。 「バスローブを取ろうか?」 チリチリと焼けそうなほど僕の肌を見つめた後 ようやくムッシュ・デュボアは言った。 「バスローブ?」 エセ紳士の策略になんか引っ掛るもんか。 「言ったでしょう?きちんと着替えをするって」 だから僕は満面の笑みで 腰に巻いていたバスタオルを外し彼の足元に放ってやる。
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