第3章

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「アンリ・デュボアだ。ムッシュ九条がソルボンヌに留学していた時世話していた」 「握手はやめた方が。ご覧のとおり土まみれだから」 「それならハグを」 それとなく接触を避けると 「和樹です。この屋敷の当主なの」 「君が当主?面白い子だ」 釣り針に掛かった魚のように 彼は自ずから僕の元へ近づいてきて 大きな手に華奢な身体を抱いた。 「ほんの子供じゃないか」 「子供ですって?僕が?」 「リセエンヌぐらいの年か?もっと下?」 リセといえば日本の高校に当たる。 しかもそれより下に見えるって? 「フランス人は意地悪が好きなの?」
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