第3章

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知ってるんだ。 「それとも僕が好きなの?」 古今東西、僕を子ども扱いする男は みんな僕が好きだって。 「まいったな」 案の定 白い肌はうっすら紅潮して ムッシュデュボアははにかむように笑った。 「君はもしかしたらムッシュ九条の……?」 緊張した指先が真正面から 僕の抱えたリラの花びらを撫でる。 「さあね。どうかしら」 彼のいい人だって やっと気が付いたみたいだ。 それでも 「そんなことよりカーディガンを脱がして下さる?」 「……え?ここでかい?」 「そうだよ。廊下を泥だらけにしたら口うるさい執事長に怒られるから」 誘いかけると アイスブルーの瞳は瞬きすら忘れて頷いた。
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