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アンゴラのニットを剥ぐと
肩が剥き出しのタンクトップ一枚。
「メルシー」
鼻に抜ける気取った声で僕は笑った。
「下はまだ寝間着だったんだ」
ムッシュ・デュボアは目を丸くして
リラの花を抱えた僕についてきた。
堅物の執事長がいたら
ひっくり返りそうだなと思いつつ。
「こちらへ」
肌も露わな寝間着姿のまま
テラスルームの入り口からゲストを招いて屋敷へ通した。
「お紅茶か何かいかが?僕が淹れるので味の保証はできないけれど」
「そんなことより君、早く着替えた方がいい」
汚れたアンゴラのカーディガンを抱えたまま
ムッシュ・デュボアは早口に言った。
「そんな恰好で風邪を引くといけないし、手も洗わないと。あーあ、裸足じゃないか。ほら、スリッパを履きたまえ。足が氷のように冷たいじゃないか」
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