第3章

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まるで誰かさんみたいだ――。 僕が世話をかけると ああだこうだ言いながらも お兄さんたちはみんな嬉しそうに世話を焼きたがる。 「ああ、メルシー」 スリッパを履かせてもらいながら 僕はもう一度からかうように礼を言った。 そして 「それじゃ初めに僕の部屋へお連れするけれど構わない?」 「え?」 「温かいシャワーで身体を流してきちんとした服に着替えるから――その間部屋で待ってて下さる?」 思ってもなかった誘いだって? いいや彼 きっと期待していたはずさ。 「構わないよ」 ムッシュ・デュボアはワントーン低い声で答えると 「じゃあいらして」 僕について螺旋階段を上がってきた。
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