第3章

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「九条さんは僕のお姉様と結婚したの」 「え?」 「だから僕ら義理の兄弟なんです」 当然のようにシャワーのこちら側とあちら側 薄いガラスの扉を挟んで僕らは話をする。 「つまり君は――お姉さんの夫とそういう関係を?」 「ええ。だけど彼とは運命でした」 「運命?」 「出会ったタイミングが悪かっただけ」 初対面だと言うのに 随分気が置けない距離だ。 「面白いな」 「面白い?」 恋愛至上主義のお国柄か。 自由人の僕を前にしても彼は物怖じしなかった。 それどころか――。 「もっと面白い話もあるけれど……」 「聞きたいな」
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