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「もしもし」
『もしもし、って、どうしたの?』
「いや、あの、あのエプロンって」
『あ~、そうだよ、悠ちゃんがプレゼントしたやつ』
「今も使ってたん?」
『そっか、悠ちゃんは知らなかったっけ。そうなんだよ、えっとそうだなぁ、悠ちゃんが進路のことで忙しくなってからはパーティーの日に着ることなくなってたけど、それでも準備をする時は使ってたんだよ、ずっと変わらず』
俺は電話を切ると、空を見上げた。
今いる場所から直樹くんの元まで確かに繋がっている空を見上げた。
直樹くんは、あの時の俺の気持ちを今も変わらず大事にしてくれていたのだ、そっと包むように大切にしながら。
そう思えた。
そしてそれと同時に、いつの頃からかパーティーの日にはあのエプロンを着ずに、普段通りのコック服を着ていたということが、俺のことを大人として認めようとしてくれていたのだろう。
そう感じられた。
俺は荷物を抱えると立ち上がった。
プレゼントを探すつもりだった。
そう、改めて感謝の気持ちを伝えられるようなそんなプレゼントを。
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