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「あの、直樹くん、これ」
思いきってそう声をかけてプレゼントを差し出す。
「え?」
直樹くんはいきなりのことに事態を飲みこめていないようだった。
「いや、あの、普段からお世話になってて、誕生日も知らんかったから何もできひんかったし、クリスマスやから、なにかプレゼントできたらって」
今更だが、自分が子供っぽいことをしてしまっているような気になってきて恥ずかしさが込み上げてきていた。
「そうか、忙しい時期だったのに、ありがとう」
直樹くんは慌ててる俺を笑うこともなく、穏やかに微笑むとそう返してくれた。
「・・・・・・開けていいか?」
「え?あ、うん」
直樹くんは、あやめさんや聡くんのアドバイスをもらって俺が包んだラッピングを丁寧にほどく。
「・・・・・・エプロン?」
「うん、何がええかってすごい考えたんやけど、あんまりお金もないしって。聡くんとか皆も協力してくれたり・・・・・・仕事に結びつくからどうかな?とも思ったんやけど、休みの日だけでも気分変えてもらえたらって考えたんやけど・・・・・・」
「悠太」
「うん?」
「ありがとう、嬉しいよ」
「え、あ、よかった」
最後は短い言葉を返すのが精一杯だったけど、直樹くんが喜んでくれているのが分かって俺はほっと胸を撫で下ろした。
「きれいな色だな」
エプロンを眺めている直樹くんに「よもぎを使った草木染めなんやって」と説明する。
そうして話していると、直樹くんが少し動きを止めた。
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