心をこめて 心をとめて

15/19
前へ
/19ページ
次へ
そして27日の夕方。俺は『グリル ゆさ』を訪れていた。 「こんにちはー」 いつものように店内に入ると驚いた。 クリスマスの日とインテリアが変わっていなかったから。 なぜならあの日、「飾りの片付けも手伝う」と言った俺に「明日ゆっくりやるから、いつもそうしてるんだ」と、遊佐くんは確かに言っていたからだ。 「あー、来た来た」 「大祐くん、これって、片付け・・・・・・?」 「うん、まあね。とりあえずここに座って」 「え?」 戸惑っている俺に大祐くんが笑顔で椅子を勧めてくれる。 いつもまかないを食べるカウンターではなくテーブル席だった。 「悠太、いらっしゃい」 厨房から出てきた直樹くんの姿に俺は驚く。 そう、直樹くんは俺が作ったエプロンを身につけてくれていたのだ。 「それ・・・・・・」 「あぁ、早速使わせてもらってる、ありがとうな」 淡い緑が穏やかな直樹くんと馴染んでいるようで、俺は嬉しかった。 「良かったら」 そう言って直樹くんは料理を俺の目の前に置いてくれる。 「え?これ・・・・・・」 俺はまたも驚いて、直樹くんを見つめる。 そう、そこにあったのは、『グリル ゆさ』のクリスマスメニューだった。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加