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静寂の後にアダムを揶揄する酔っ払いたちの声が一斉に上がった。
目の前が真っ暗になったエレナは胸に手をあて顔を伏せて部屋から出た。
ふらつく彼女の後を追ってきたのはアナベルだった。
「大丈夫?ふらふらしてるけど、一緒にお部屋に戻りましょう。」
アナベルは夫のイージスがアダムと同じ法律事務所の同僚だと自己紹介してくれた。
浮かれた天国の住民のエレナは地獄の路をさまよっている。あの言葉を発した時のアダムの顔が脳裏に焼き付いている。
赤っ恥をかかされた赤毛の花嫁は、この真っ暗な海の底に消滅してしまいたいと思った。
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