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誰が想像しただろう、自分の言葉が引き起こした悲劇を。
麻痺した頭でぼんやり思う。
ああ、そうだ。
いつだって俺が言ったから届いたんだ。
甘いものが食べたいと言ったから、ケーキ。
激務で寝る時間がほしいとぼやいたから睡眠薬。
癒されたいと言ったから縫いぐるみ。
何気なく呟いた言葉だったから記憶になくて、脈絡のない贈り物に見えていたんだ。
俺の、罪のない囁きがこんなことになるなんて……!
アパートの天井からぶら下がる彼女。
昨日一緒に住もうと言った唇は血の気を失い、やけに長い舌と唾液が垂れている。
プレゼントとでも言うように、彼女の首を縛るのは赤い紐。
俺はすでに事切れている彼女にすがって泣いた。
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