カード破産

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お目当てはお菓子ではなく、おまけのカードの方だ。 コンビニをはしごして、お年玉で買えるかぎりのお菓子を買った俺は、見事に様々なレアカードを手に入れ、矢田たちからもてはやされた。 カードフォルダが一気に充実した快感は癖になりそうだった。 あ、お菓子はみんなで美味しくいただきました。 食べ物は大切に。 これ大事。 問題はその後だ。 俺のお年玉の使い方を知った親父にしこたま怒られた。 そしてお小遣いを減らされた。 これはしんどかった。 白いアヒルが「お金は大事だよー」と言っている訳が身に染みてよくわかった。 お小遣いのやりくりにヒーヒー言ってる俺を見て、仲間たちはいつしか「タクはカード破産した」とからかうようになった。 生活科の授業で習った言葉を使いたかっただけだろうが、いいえて妙で、俺自身自虐的に使うようになった。 高校卒業するまで、仲間内での俺の持ちネタになった。 サクは高校からの付き合いだから、俺の破産事情を知っていた。 さすがに大学辺りからは人に聞かれたら洒落にならないのと、ネタも古くなったので誰も口にしなくなった。 ましてユウとは社会人になってからの出会いだから知らなくても仕方ない。
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