ありがとう

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会社帰りの、電車での出来事だった。 この時間になるともうほとんど人はいなく、端の席に座っていたOL風の女性と少し距離を置いて座っていた。 次の駅に着くと、何やら大きいトートバックを持った少女が乗り込んできて、端の女性の前へ立った。 黒髪で、お団子を頭のてっぺんに乗せた髪型が印象的だった。 座らないのかな?これだけ空いてるのに……、そんな事を思いながら、2、3駅そのままの状態が続いた。 しばらく経つと、ふいに少女が口を開く。 「あの……」 端の女性が少女を見上げる。少女は女性に向け、こう続ける。 「席を……席を譲ってくれませんか?」 静かな声で少女は言った。 女性は、しばらく驚いたように少女を見上げていたが、やがて 「どうぞ」 そう言い、立って席を差した。 「ありがとう」 少女は少し笑うと、女性の座っていた席に座り、バックから彼女の小さい体にはけして似合わないでかい拳銃を取り出し、自分の頭にあてがい発砲した。
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