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この一件は、芳子様と小間物屋を操る藤原家の陰謀でございました。手薄になった屋敷を強盗が襲うという謀反を企ててらっしゃったのです。そのことに旅の途中で気付かれた旦那様は、急いで屋敷に戻り、屋敷は佐吉さんの機転のお陰で何事も無く済んだとのことでした。
腰を抜かした私を抱きしめられたまま、旦那様はおっしゃったのです。
「私に欲はない。生涯竹一を裏で支え、私はただささやかに静かに生きたい。
お小枝と共に。
ずっと傍に」
私の心はもう既に決まっておりました。誰が何と言おうと、旦那様の傍でお仕えすることを。
少し硬くなったお餅が空腹を満たし、旦那様から心に溢れるほどの光を頂いたときに。
「はい」
<了>
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