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「あの、竹一様? そんなに頻繁にここに来られて大丈夫なのですか?」
私は竹一様の小さい頭を上から見下ろしました。竹一様は白い歯を剥き出しにして無邪気に笑われます。小さいながらとても聡明活発な子だと思います。
今年7歳になった竹一様は、本家山内邸のご長男であらせられます。私がお仕えしている旦那様、竜彦様の兄上様にあたる吉隆様の一人息子でした。
竹一様は、分家である竜彦様のお館によく遊びに来られては、どういうことか私に遊びをせがまれるのです。
「うん。そちは気にすることはない。大丈夫だ。佐吉に上手く誤魔化して貰っている」
「…誤魔化してって、佐吉さんお気の毒に。…やはり黙って出てこられたんですね?」
「そんなことより、お小枝、昨日の続きをしよう」
竹一様は、折りたたんだ半紙を私の前に出しました。私にこの小さな愛らしい男の子を拒むことなんてできません。私は、竹一様とお庭に続く縁側に向かい、双六をするはめになるのです。
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