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活動開始!
「柊っ!?」
声を掛けたのは南条君だった。昨日はほとんど変わらなかった端正な顔が、驚いた表情を浮かべている。
「なんじょーくん……はぁ…はぁ…こん…にちわ…」
足を止めた途端に息が切れ、私は膝に手をついた。いや、息はもっと早くに切れていたのかも。
「大丈夫か?…お前どっから走って来たんだ……」
「が…がっこう、から…です…っ…」
息の整わない私を近くの花壇に座らせ、南条君が頭を抱えた。呆れられてしまったかな。迷惑だったかも。
「お前…体壊すぞ?見たところ体力なさそうだし」
「す…すみません…」
少し息が整い、私は立ち上がる。けど、すぐにがくりと視界が傾いた。
「…!!」
気がつけば、私の体は南条君にキャッチされていた。まだ足元がふらついているらしい。
それにしても、やっぱり南条君はすごい。私は結構 重い方だけど、南条君は少しも動じずに また花壇に座らせた。
「………すんな」
「え…?」
「……無理すんなっつったんだよ」
きまり悪そうに南条君がそっぽを向いた。
「…お前、多分 足挫いてるぞ」
顔を逸らしたままの南条君に言われ、私は自分の足を見る。足首の後ろをそっと触ると、確かに痛みが走る。本当だ、挫いてるみたい。
「ん」
南条君が私の前に背中を向けて座り込んだ。どうすればいいか分からない私に、南条君が苛立ったように髪をかきあげた。
「挫いてるんだ、乗れよ」
「で…でも……」
私 重いし。おろおろ する私の手首を掴み、南条君が引く。そのまま立ち上がってしまうから、私は自然と 南条君に負われる形になった。南条君は肘の内側で私の足を固定して、両手には2人分の鞄を持っている。
「どうせ駄菓子屋まで行くんだろ?あと少しで着くし」
「す、すみません…」
背中から 申し訳なく言うと、南条君の肩がびくっと震えた。
「耳元で話すな、びっくりする」
耳が弱いんだ…何だか意外。でも、悪いことをしてしまった…。背負われている以上、話せば南条君の耳元になってしまうわけで…
少し考えていると、もう駄菓子屋に着いてしまった。南条君に降ろしてもらい、私は頭を下げた。
「す、すみません。…あの、重かったですよね…」
「………別に、普通じゃない?」
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