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 ふいっと また顔を逸らし、南条くんは鍵を開けた。ちょっと頬が赤く見えたのは、夕日のせいかな。  まだ秋なのにもう寒い。駄菓子屋の中が暖まりかけた頃、柴里くん、時雨さん、雪暮さんが到着した。 「やあ、柊。今日も来てくれたんだね」  嬉しいよ、と微笑む柴里くんに、私は俯きながら頷いた。  昨日ここに来て、[この人たちと、もっと仲良くなりたい]って思えたんだ。今までこんなこと思わなかったし、これからもそんなことありえないなんて考えてたけれど、雪暮さん達は私を受け入れてくれた。  だったら、賭けてみてもいいかもしれない。こんな、どうしようもない私が、どこまで変われるのか。私に出来ることは、何なのか。知りたい。 「柴里、手紙は?」 「それがねぇ、面白いのが来てるんだ」  困っているような楽しんでいるような笑顔で、柴里くんが昨日の定位置に座る。私は慌ててソファから立ち上がった。  だってそこは、雪暮さんが昨日座っていた場所だったから。 「別にいいよ、ソコ座ってて」  にこにこっと笑顔を浮かべる雪暮さん。それでも迷っていると、「しょーがねーなぁ」と雪暮さんがソファの後ろに回りこんだ。突っ立っていた私の肩に手を置き、くっ、と力を入れる。 「ふぁう」  変な声が出た…。それと一緒に私はソファに着席。振り返ると、すごく満足そうな雪暮さん。そっと前を見ると、正面には南条くん。その隣を見ると、優しい笑顔の柴里くん。私の左隣には、楽しそうに微笑む時雨さん。  うぅ…居づらい…。 「シバ、依頼、何て?」  奥から椅子を引っ張り出してきた雪暮さんが問うと、柴里くんは封筒を取り出した。昨日見た封筒とは違って、淡い水色ではなくて茶色のよく見る封筒。 「…あれ…?裏に何か書いてあるぞ」  封筒の裏の左下に、宛名が書いてあるみたい。私の方からは見えなかったけれど。南条くんが柴里くんから封筒を取り上げた。 「て…?…ち、ちぇ…?あぁっ、日本の手紙の宛名を英語で書くなっつーの!めんどくせーっ!」 「貸してみ」  苛立たしそうに髪をかき上げる南条くんから、時雨さんが封筒を取る。宛名を静かに眺めて、軽くため息をついた。  
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