カケルとシュン

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「駿~っ 駿。」 誰かの声。 どんどん近づいてくる。 俺が大好きな声だ。 手の届くところまでくると 翔くんは 俺を力一杯抱きしめてくれた。 「駿、スゴイよ。櫻くんに追いつきそうだよ? 俺がいなくなってまだ少しなのに 駿はスゴイよ。」 そう言って俺の頭を撫でてくれた。 俺はまた 泣きそうになった。 翔くんの学校の人たちが 俺を取り囲む。 「何?」 「だれ?」 「その子、高橋くんの弟?」 色んな声が降ってくる。 俺の知らない 翔くんの知ってる人たち。 「弟じゃないですよ~。俺の一番大切なヤツですよ?」 翔くんは学校の人にそう言った。 「ちょっとクラブまでコイツ届けてきますね。」 翔くんはセンパイたちに頭を下げて 俺をクラブの陣地まで送ろうとした。 「翔くん、俺一人で行けるよ?」 「ん?俺が駿といたいんだよ。」 そう言って俺のおデコに キスをした。 俺は固まった。 「駿、待ってるからね。」 とホッペにキスされた。 手を振りながら 翔くんは自分の陣地に戻っていった。 1年男子100。 翔くんは決勝まで残った。 『11秒40』 この日参加したどの人よりも速く 中学記録会初参加で 翔くんは 総体出場の切符をてにいれた。 「駿~ 見てたかぁ? やっぱりお前がいると俺、頑張れるわぁ」 そう言って手を振っていた。 翔くんに 追いつきたい 追いかけたい 俺いつまでも翔くんの側にいたいよ。 中学に入学し 陸上部の見学に行く。 翔くんが俺を見つけ 「駿、待ってたよ? 俺が引退するまでの間、ずっと隣りにいるんだぞ?」 翔くんのコトバに哀しくなる。 「引退するまでだけ?」 「バカ、お前はずっと俺のもんだ。」 そう言って俺の頭を撫でてくれた。
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