カケルとシュン

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小さい頃から走るのがすきだった。 まだ3歳だった頃、 親に頼み込んで アスレチッククラブに入れてもらった。 同じマンションの 翔くん。 翔くんがそのアスレチッククラブに 入ってたんだ。 ぷにゅぷにゅした柔らかい妹しか いない俺は 翔くんの後をいつも追いかけていた。 翔くんは 優しくて カッコよくて 走るのが速くて 俺を可愛がってくれた。 翔くんが小学校に入り 練習は別のクラスになってしまった。 俺が翔くんの後ばかりついて歩くと 「駿と練習は別だけどちゃんと見てるよ?」と 優しく俺の頭を撫でてくれた。 俺が4年 翔くんが6年まで アスレチッククラブの行き帰りは 必ず手を繋いでくれた。 俺は 本当に嬉しかったんだ。 翔くんが中学に入ると アスレチッククラブを辞めた。 陸上部に入ったからだ。 翔くんが遠くて 手の届かない所に 行ってしまって 俺は泣き虫になってしまった。 俺は翔くんがすきだったんだ。 小学生と 中学生とじゃ 登下校の時間も違う。 全く会えない日が続いた。 翔くんはもう俺のコトなんて 忘れてしまったかもしれない……。 小学生から高校生まで出場出来る記録会。 そこで 中学のユニフォームを着た 翔くんを見かけた。 上級生と友達と 楽しそうに笑ってる。 あそこは僕の場所だったのに。 悲しくて 悔しくて 僕を見て欲しくて 頑張った。 けど 小学生高学年100……2位だった。 1位はいつも俺と同じ歳の櫻くんだった。 俺は 翔くんに 忘れられるんだ…… そう思ったら また涙が溢れてきた。
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