シュン

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「かけるたん。かけるたん。ぼくもいく~。」 マンション下の公園で遊ぶ俺たち。 滑り台は俺たち幼稚園生が いつも集まっている。 たかが幼稚園生。 周りから見れば小さな子供。 でも 年長組の俺たちの気分は 『ランドセル』を買ってもらって ちょっぴり 大人 だったんだ。 まだ3歳の駿は いつも俺の後をついて来る。 友達はそんな駿を邪魔扱いする。 年少組の駿をどっかにやりたくて 鬼ゴッコと称し 駿を鬼にする友達。 駿は必死になって年長組のヤツを捕まえようと走る。 走る。 走る。 駿は速かった。 俺以外はみんな捕まえられる。 もう駿を仲間外れにするヤツはいなくなった。 一緒に通うアスレチッククラブ。 俺が小学校に入ると練習クラスが 別になった。 「かけるたんと一緒がいい。 かけるたんがいいよ。」 猫みたいな黒目がちな瞳を潤ませて俺の後をついて来る。 何で駿はこんなに可愛いんだろ? 「クラス違くても駿のコトちゃんと見てるよ?」 と伝えると寂しそうに幼稚園のクラスに帰って行った。 いつまでも駿と一緒がいいなぁ。 「翔、駿が可愛ければ駿の見本になるようになりなさい。そうすれば駿も翔をいつも見ていられるだろう?」 コーチの声に頷いた。 駿に俺を見ていて欲しくて 駿に他の子を見て欲しくなくて いつまでも あの可愛い顔を俺に向けて欲しくて 頑張った。
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