渉君

2/5
前へ
/388ページ
次へ
(なごみ語り) 最近、眠れないのだ。 もともと寝つきがいいほうではないが、ちゃんと寝ている感じがしない。眠りが浅くて、すぐ起きてしまう。身体は疲労で疲れ果てているのに、頭は冴えて熟睡できない状態が続いていた。 昨日もコンビニに行ったら、寝不足でふらっときた。 店員さんにも迷惑かけちゃったし、大人にもなって自己管理が出来ないのかと、落ち込んでしまう。今朝も起きると体がだるかった。 寝不足のせいか、体が熱っぽい。 僕はベッドに横になったまま天井を眺めた。 今日は休みだからゆっくり体を休めよう、と目を閉じた時だった。 ピンポーン、ピンポーン…… チャイムが性懲りも無く鬼押しされている。 誰だろうか。 僕の知り合いに休みの朝に連絡もなく来る人なんか居ないけど、とにかく頭に響くチャイム音をどうしかしなければならない。僕は渋々ドアを開けることにした。 「久しぶり~洋ちゃん、元気……じゃないね。」 「わたる……くん。」 本当に久しぶりに、友人である渉君が訪ねてきた。 僕の家に来るのもどれくらいぶりだろう。 最後に会ったのも、忘れるくらい前だ。 「上がっていい?」 「うん。どうぞ。散らかってるけど。」     
/388ページ

最初のコメントを投稿しよう!

316人が本棚に入れています
本棚に追加