悪い予感

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(渉語り) 「わたる……くん、あ、あ……あっ…あぁ……」 「……洋ちゃん…あ…ゆっくり…」 今日は自分が上に乗ると言って、僕に跨り妖艶に自ら腰を振っている。 新しいベッドのスプリングがまだ固めで、洋ちゃんが動くたびに弾むように揺れた。彼の中は凄く気持ちがいいし、僕ので蕩けそうになっている姿を見ていると、とても興奮する。下から一気に何度も突くと、堪えるの必死な洋ちゃんの喘ぎ声が小さな悲鳴に変わっていった。洋ちゃんが先に白濁液を飛ばし、少し経って僕も果てた。 真昼間から交わった僕たちは、敷いていたバスタオルを洗濯機に入れ、シャワーを浴びて新しいベッドに潜り込んだ。 しっかりと乾かした筈なのに、洋ちゃんの髪は少し湿っていて、それが気になって手で梳くと、柔らかい焦げ茶色の束か指に絡まった。彼の髪質は羨ましいくらいに艶がある。 外は暖かく天気も良い。 ベッドからは冬のものとは違う濃さを含んだ青空が見えた。2人で抱き合いながらくっついていると、段々心地良い眠気に包まれる。 洋ちゃんに感じている違和感は気のせいで、僕の勘違いなのかもしれない。この幸せはこれからもずっと続くんだと、そう思いたかった。 「洋ちゃん、晩御飯何する?何食べたい?」 「…………ん、そうだね。何にしようか……」 あ、まただ。 会話に合わせるフリをして、全く心がない返事だ。こうなると何を聞いても、そつのない返事ばかりする。裏を返せば典型的な会話しかしない。 そして、時折見せる何か別のことを考えている表情は、僕が入る隙間を与えてくれなかった。 「少し寝たら、ヒデさんの店に行ってみない? あれから行ってないでしょう。軽くご飯食べて行こう。ヒデさん、洋ちゃんを気に入ってたから喜ぶよ。」 「………うん。そうだね、そうしよう。」 洋ちゃんがこちらを向いて、僕の脇の下に額を擦り付けてきた。その仕草が可愛くて、まるで猫のように思えてくる。 ぎゅうと抱きしめていたら、いつの間にか2人で丸まって眠っていた。
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