交差する想い

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(なごみ語り) 一通り笑った後、話題は再び東さんに戻った。 「東さんと大野君は今日は何の帰りですか?そもそもどんな繋がりなのかな?だって全く部署が違うでしょう。」 渉君が僕の腕に手を絡ませている。彼はさっきからぴたりとくっ付いて僕から離れない。 ちなみにカウンターの1番奥から渉君、僕、1つ空いて東さん、大野君と並んで座っている。 渉君は接客業だからか、初対面の人でも全く臆することはなかった。 「ただの飲み友達だよ。たまたま会社のエレベーターで会って、意気投合して飲みに行ったんだ。最近、結構手痛い振られ方をしたみたいで、俺は愚痴聞き役かな。ね?大野君。」 「えっ、は、はい。」 東さんの目が僕を捉えて『知ってるよ』と言わんばかりにアイコンタクトをしてきた。 大野君とのことを知ってるんだ。 さっきから当の本人は東さんに隠れて全く見えない。 「えー、大野君振られたんだ。誰に?会社の子?その話聞かせてよ。」 渉君がわざわざ東さんに隠れてる大野君を覗き込む。 渉君……もしかして知っててワザと聞いてる?そんな考えが彼の口調から伺えた。 「………もう少しして風化したら言いますから、まだ放っておいてください。」 大野君が下を向き、消え入りそうな声を発する。それを聞いていると、胸が締め付けられるようになる。 彼をこんなにも傷付けてしまった。 僕のせいだ。ぎゅっとズボンの膝部分を握る。 「もう、やめてくださ………」
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