再会

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(なごみ語り) で、来てしまった……… 勢いに任せて大野君が居る支店の側までやってきてしまった。通りの向こうには、支店の1階にあるショールームが見える。僕は対角線上にあるビルの入り口から覗いていた。 大野君がこちらに帰ってきて、僕に連絡が無かったことが全てを物語っていると思った。 本社を選ばなかったことも同じで、彼は僕と関わらない道を選んだ。 とうの昔に嫌われていたのかもしれない。 3年間の僕なら確実に泣いていた。 だけど、それよりも何よりも、僕は大野君に会いたかった。遠目でいいから元気な姿を見たいと思った。 少し図太くなったかな。 パソコンや読書で使用している眼鏡を鞄から出して装着した。僕はここ数年で乱視が進み、視力が一気に落ちた。眼鏡越しだと一瞬で視界の線が濃くなり、色彩が鮮やかになる。 オフィスや住まいのショールームには日曜日だけあってお客様が多数みえていた。 確かここには外国産の家具を多数揃えていて、場所柄もあり裕福なお客様が多いはずだ。 だけども、確認できる限り大野君は見当たらなかった。きっと2階で事務処理をしているか、或いは顧客訪問で外回りをしてるのかもしれない。 手に提げた光月庵の袋が重く感じた。 …………もう帰ろうかな。 きっとまた会えるだろう。 光月庵に通っていればいつか鉢合わせできる。僕はきびすを返して戻ろうと歩き始めた。 「……なごみ…さんですよね?なんでこんな所にいるんですか?眼鏡、かけてるから別人かと思いましたよ。」 人間は本当に驚くと言葉が出ないらしい。 目の前には息を切らした大野君がいた。外回りの帰りらしく鞄を手に持っている。 僕が会いたくて会いたくて仕方が無かった愛しい人が目の前に……いる。 「お……おの君……?」 「はい。大野です。お久しぶりです。」 だめだ。全てが眩しくて直視ができない。 そして、何故か目に涙が滲んできて、突然のことに対応できない自分がいた。
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