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(渉語り)
暫し星を見上げた後、僕達は自然と見つめ合い、どちらからともなくキスをした。
軽く唇と舌を絡ませて、名残惜しかったけど口を離す。僕には伝えないといけないことがある。深呼吸をして自分を落ち着かせた。
「まどか君。僕が好きなのは君です。君とずっと一緒にいたい」
彼の優しい目が更に細くなった。見上げた僕の耳後ろに指を通し、髪を梳いていく。そしてふわりと抱きしめられた。
厚い胸板に心臓が高鳴るのが分かる。
身体中の血液が彼に流れていきそうな位、気持ちがまどか君で溢れている。
「俺こそ、あなたが大好きです。あなたが俺なしでは生きて行けないように、尽くしますから」
「それは僕のセリフ。とことん尽くすからね。覚悟しておいて。ウザくても離れてあげない」
「ウザいなんて全く思いません。じゃあ楽しみにしてます」
いつまでも抱き合っていたいくらい居心地がいい腕の中だ。
僕は嬉しくて泣きそうになりながら、更に力を込めてぎゅうと抱きしめた。
洋ちゃんと別れて3年以上が過ぎ、僕にもやっと幸せが訪れた。
いつか洋ちゃんにもまどか君を紹介したいな。こんな日々もあったなと笑い会える時が来るのを楽しみに待っている。
まどか君、大好きだよ。
《これにて『渉の恋』が終わりになります。ありがとうございました。次貢からは大野なごみに戻ります。2人の年明けについて書こうと思っております》
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