優しさで溢れるように

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社長×東cpは何をしているのか知りたい、とリクエストがあったので、おまけでございます(ちなみにこの2人は45歳、35歳のおっさんcpです。完全に私の好みです。2人がいたしますので、苦手な方はスルーしてください。大丈夫な方はそのままお進みください。) (東語り) 全く。朝からこの人の気まぐれに振り回されっぱなしだ。 寒い台所で皿を洗っていた。隣で音を立てている石油ストーブの側で猫のカンナが寝ている。リビングは航さんがいるため、こっちへやってきたようだ。カンナは航さんが拾ってきたくせに全く彼に懐いていない。気付くといつも俺の半径1メートル以内で寝たり、毛づくろいしたり、ゴロゴロしていることが多い。エサもよっぽどのことが無い限り俺からしか食べてくれない。 なごみと大野は2階の使っていない部屋で寝ている。珍しく酔って寝てしまった恋人の側で仲睦まじく寄り添っていることだろう。つくづく能天気で幸せな者達だと思う。 「………征士郎。今、暇?」 いきなり背後から抱きすくめられた。リビングにいた筈の人が俺の後ろにいたため、驚いて皿を落としそうになる。 足元でカンナが航さんを威嚇していた。航さんが俺に近づいてくると、こうやってすぐ怒るヤキモチ焼きな女の子である。 「暇に見えますか。皿を洗ってます。用があるなら終わるまで待っていてください」 「……分かったよ。でもさ、大野君はいい青年だね。久しぶりにあんな感じのいい若者と話をした気がする。なごみ君もなかなかやるなって思ったよ。本社に来たいなら、是非呼んでやろう。彼の仕事ぶりも見てみたい。彼の人事データを用意しておいてくれ。楽しみだ」 ダイニングのテーブルに腰掛けて、航さんが大野を褒めていた。大野が本社へ来たら、なごみの仕事効率も上がるだろうか。 これをダシに自分で家に招き入れておいて、部下の仕事の方が気になって仕方がなかった。 「正月休みが終わる頃にもう一度言ってください。あなたの秘書はなごみです。今は酔って寝てますから、メールでも送っておいたらどうです?」 強い口調で意地悪く突っぱねると、ため息を吐いた航さんが再び俺を後ろから抱きしめた。首筋に唇をつけたまま話してくるので、くすぐったくて仕方がない。 「ごめん。だってさ、本当は征士郎が俺の秘書になるはずだったのに、いじけたくもなるよ。別になごみ君が嫌なわけじゃない。彼は優秀な秘書だ。だけど、俺は征士郎がいいんだ……分かって欲しい」 「あんな昔の約束、まだ覚えてたんですか。 今と昔では状況が違うんです。なごみで我慢してください。俺はいつも側にいますし、優秀な人は秘書が誰でも仕事ぶりは変わらないはずです」 この人がかなりの甘えただと知ったのは、ごく最近のことだ。拗ねてるだろうなと思い顔を後ろに向けると、突然唇を奪われた。 手からスポンジが落ちて水が滴った。航さんからはさっきまで飲んでいたブラックコーヒーの苦い味がする。 最初は啄ばむように。そして次第にキスは深くなっていった。濡れたままの手首を取られて動きを封じられる。 「………っ航……さん。濡れる……」 「構わないよ。征士郎……欲しい」 舌が口内を蹂躙する。シンクを後ろに行き場が無くなった俺は、濡れた手で彼の上着を引っ張り、更に身体を密着させた。 それを合図だと思ったのか、航さんの手が服の中へ侵入してくる。グイグイと来る彼の勢いに腰がシンク台に乗り、キスが更に激しくなってきた。唇がまだまだ足りない。 欲しい、欲しいと俺を求めてくれる航さんが愛しくてたまらない。 10年間、この光景をどんなに夢見てきたことか。目の前に彼が存在することが、未だに信じられないのだ。何回身体を重ねても足りない。俺が安心するまでには、かなりの時間が必要だった。 「あ、痛てて……待て。こら、カンナ。邪魔するなよ。止めろ。痛っ……」 急に深いキスが中断された。 顔を引攣らす航さんの足元を見ると、カンナが噛んでいた。しかもかなり強めに。 カンナにとって航さんは同レベルか…… 「カンナおいで。航さんが痛がってる。噛んだら駄目だよ。俺はカンナが1番だ。そんなことしない。いい子だから」 カンナを腕に招き入れ、よしよしと撫でながら鼻の頭にキスをした。すり寄って小さく鳴いた彼女をリビングへ連れて行き、お気に入りのクッションへ乗せる。撫でてやると、カンナは安心したかのように身体を丸めて眠る姿勢を取った。 「こいつ……俺がいなかったら死んでいたかもしれないのに、現金な奴だな」 「彼女に対する敬意が足りないんですよ。さ、カンナは落ち着いたんで、次は航さんが落ち着きましょうか」 固くなった彼の股間をやんわりと触ってみせると、航さんが俺の手を取った。 ダイニングでストーブと電気を消し、手を繋いで、航さんの部屋……客間に移動した。
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