真夜中の訪問者

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(大野語り) 結局深夜の3時過ぎまで渉さんの心の叫びを聞いていた。勝手に寝るわけにもいかず、しょうがなく睡魔と闘う時間を過ごした。 幾分か落ち着いた渉さんがソファで寝たため、俺となごみさんはベッドに移動する。 腕枕しようかと腕を広げると、すんなり中へ入ってきた。2人の間は俺の拳1つ分ぐらい空いている。恋人の背中をポンポンと叩きながら、眠そうな唇に軽くキスをした。 「明日、心配だから渉くんについて行こうかな。カバンを円さん家に忘れてきたみたいだし、結局行かなきゃいけないでしょ。ちゃんと話し合えるといいけど、気になるんだ」 「あの……不躾ですが、なんでそんなに元カレが気になるんですか。別れたのに……そこまで心配するって」 あ、そうか、と軽く口にすると、なごみさんが俺をジッと見た。そんな眼差しにもドキッとしてしまう。長めの前髪が幼く見えて、年上には感じられなかった。 「確かに、僕と渉君は付き合ってたけど、友情の延長線から僕は抜け出せなかった。途中で隼人君を好きなことに気付いても、渉君との関係を続けていたし、彼には本当に申し訳ないことをしたと思ってる。僕達は付き合うべきじゃなかったんだろうな。今は、元ある2人の関係に戻ったって感じ。渉君に対して友達以上の感情は全く無いよ。向こうも同じだと思う。でも……気になる?」 コツ……とおでこを合わせて、なごみさんがにやにやしながら聞いてきた。 「気になりますよ。だって、身体の関係もあった訳でしょう。俺がいなかったらどうなってたか分からないって……考えてしまう。」 「ふふ。ヤキモチだぁ。隼人君がいなかったら、家には入れなかったよ。どこかのファミレスで時間を潰してたと思う。不安定な渉君を僕だけで慰めるのは無理だからね。 嬉しいな。隼人君、ありがとう。僕が好きなのは君だけだよ。大好き」 「…………なら、いいです……けど」 もっと怒ろうかと思っていたのに、逆の感情が流れてきて、俺を赤く染めていた。 この人はいつも俺を狂わせて甘やかす。 腕の中であくびを噛み殺しているなごみさんと、目線を合わせたままキスをした。背中にあった手が自然にパジャマのズボンに入り、さっきまで俺が挿っていた窪みへと指を滑り込んだ。まだ柔らかくて温かい。動かすと、キュッと指が締め付けられた。 「ぁッ……だめ……向こうには渉君がいるでしょ……聞こえる……ぁ……」 「触るだけ……さっきのお預けをまだ引きずってるんですよね。あの、ティシュで受け止めてもらえますか。よかったら俺のも……」 言う前に、なごみさんが自分のと俺のを扱き始めていた。腕枕をして、後孔に指を挿れているので両手が使えない。腕の中で一生懸命手を動かす恋人を見ながら腰を擦り付けるように兜合わせをした。 「あ、んもう……きもち、いい………んん……」 「こういうのも、スリルがあって、いいですね。ぁ……いい……ここはどうですか?」 「………だめ、だめだってば……ぁ……ッ……」 俺の胸に顔をつけて、外に漏れないよう、小さな喘ぎ声で必死で耐えている姿は本当に可愛い。なごみさんは俺だけのものだ。誰にも渡さない。 さっきの火照りを逃がすように、布団の中で密事は続いた。
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