お年玉

3/9
前へ
/9ページ
次へ
 この人は僕をどういう目で見ているのか… 『違いますよ…あの…その…』  なんとなく言い出し辛く、カタログを片手にモゴモゴしていると、これまたいつものように怒りだす。 『…何だよ!?いつまで経ってもはっきりしない奴だな!男ならはっきり言え!はっきり!』  お兄さんに弟子入りして半年以上経つのだが、半年くらいじゃ人間の性根はそう変わらない。  だからいつも怒られるのだが…  そんな僕を見かねたのか、千尋さんから助け船が入った。 『こ~ら!隼人君は典孝君と違って大人しいんだから!威嚇しないの!』  と…お兄さんの頭をコツンと小突く。 『だって、コイツが!』  と、それでもお兄さんは言い返すが… 『隼人君、自分のキューが欲しいみたいよ。選び方を教えて欲しいって。』  …千尋さんに全部言われてしまった。  相変わらず弱々な僕だった。 『キュー?』  お兄さんはそう言って睨んでくる。 『あ…いつまでもお兄さんのキュー借りてたんじゃ悪くて…』  そう言う僕を見て、お兄さんはようやく僕が持っていたカタログに気付く。 『ふん。生意気な。』  お兄さんは言って、僕からカタログを取り上げた。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加