2人が本棚に入れています
本棚に追加
『新品じゃなきゃ嫌なのか?』
どっかりとドリンクカウンターの席に座り、カタログをペラペラ捲りながら、そう聞いてくる。
どうやら相談に乗ってくれるらしい。
『あ…いや…別に新品に拘りは無いですが…』
本音を言うなら、今借りているお兄さんのキューを、このまま使いたいのだが…
カタログを見てビックリしたが、キューは想像していたより高価だった。
安い物でも7~8万円。
高い物だと、100万円近くする。
まだ高校生の僕に、いくら何でもそこまでの貯金は無い。
『予算は?』
『はい…あの…10万円くらいまでなら何とか…』
そう言う僕の返答に、お兄さんは更に眉を潜める。
『…小生意気な。高校生がそんな大金…』と…
ちなみに、お兄さんも去年まで高校生だった筈なのだが…
もっともお兄さんと京子ちゃんの家は母子家庭で、お年玉など貰った事は無いと、何かの機会に言っていた。
特にお兄さんは、高校入学と同時にバイトを始めた為、お小遣いすら貰っていなかったとか…苦労人なのだ。
『あの…何かキュー選びのコツとか教えて頂ければ…』
最初のコメントを投稿しよう!