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お兄さんは険しい表情でカタログを眺めながら黙っていたので、仕方なくそう話し掛けた。
そういう僕に、お兄さんからすぐに返答がある。
『デザイン。』と…
デザインて…見た目じゃん。
『キューなんて何でも一緒だ。結局、撞かなきゃ判んないからな。』
『いや…でも、性能とか、バランスとか、違いがあるんじゃ…』
僕はそう確認した。
だって、じゃなきゃこんなに金額の違いが出ないだろうと思ったのだ。
だが、お兄さんは更に続ける。
『ふん。高いキュー使えば入るなら、誰も苦労しねぇよ。それにお前だってもう解ってんだろが。例えば、今お前が使ってるキューは、俺が一番初めに買ったキュー…アダムのヘルムステッターシリーズ。型番は86‐12。値段は定価で8万8千円って物だが、同じ型番のキューを買った所で、まるで【見越し】は違う。まぁ好みはあるが、他のスポーツの道具と違って、ビリヤードのキューってのは、人に合わせるんじゃなく、人がキューに合わせるんだ。買ったキューを使い続けて、【見越し】やクセを完全に把握する。じゃなきゃ、例えバラブシュカ使っても、ヘッポコはヘッポコのままだ。』
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