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「元はといえば、観測者を些事でわずらわせることのないよう我々のみで行う仕事となっているのですから。仕方がありません」
「ディヴァーギルには邪魔だと言われた」
「彼は口が悪い」
「おまえは、おれに甘いと言われるだろう」
「私はただ、すべきことを」
「はは」
「あなたは私の大切なネファヴィリーですから」
「そうだな。おれの大切なクレデファイヲンド」
「の模造です」
「細かいな。ならばおれは、“の先祖返り”だ」
「そうでしたね。うつくしいひと」
エナベシワには人類のような表情筋はない。
だがルカーには、違えず、そのクレデファイヲンドの模造の変化したすがたの表情が理解できた。満足する。
「おひとりで、さみしい思いをさせてしまいましたか?」
「ほんのすこし」
「それは、悪いことをしました」
「はは。皆よく働いてくれて、ありがたく思っているよ」
「はい。あなたのお気持ちは、我々皆よく承知しているつもりです」
「ん。実にできたしもべだな」
ルカーはナディーラの背を繰り返し撫ぜた。
「慣れない仕事は疲れるものか?」
「さほどは。そう大したことはしておりませんので。基本的には、日頃ディヴァーギルがディたちとしている保守で充分なのですから」
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