2704人が本棚に入れています
本棚に追加
/332ページ
面倒くさい性格のようで自分が嫌になった。
気持ち悪い、嫌いだ……凪沙も……自分自身も……
「…和音、そんなに食べれるの?」
「……………大丈夫」
両手に抱えるほどのパンを持つ俺に風太は苦笑いした。
朝食食べてないからと押し通し人気がないあの階段に腰を下ろした。
凪沙と高校生になり初めて会話をしたあの場所だ。
別に凪沙が来る事を期待しているわけではない、ただ人があまり通らない場所といったらここしか思い付かなかった。
校舎裏は人がいっぱいいるし、屋上は立ち入り禁止だからやっぱりここしかない。
風太が隣に座り俺はパンの袋を開けた。
「和音が退院してくれて良かったよ!もしかしたら卒業までずっと入院してるのかと思って」
「さすがにそれはないよ、そこまで重症じゃないし」
「そっかそっか!」
風太は菓子パンを一口かじって「うまっ!」と声に出していた。
穏やかな青空を窓越しに見つめながらのんびりとした昼飯を楽しんだ。
教室に戻ると先に凪沙が戻ってきていた。
やっぱり楽しそうにクラスメイト達と話している。
内容は今流行りのゲームや遊びスポットの話……どれも凪沙とは無縁な話だった。
でも凪沙は話題に遅れる事はなく、ちゃんとした答えを出していた。
本当にどうしたのだろうか、凪沙は…
「和音」
「な、何?」
風太に肩を掴まれて驚いて声が裏返ってしまった。
近くに風太がいるのは当たり前なのに凪沙に集中しすぎて風太を忘れるなんて……
もう凪沙の事はいいだろ、元々俺みたいなつまんない奴に凪沙が構う方がどうかしていたんだ。
凪沙はそれにただ気付いただけなんだ。
風太に驚かせてしまったと謝られて首を横に振った。
一瞬風太は凪沙を見て俺の方を見た。
最初のコメントを投稿しよう!