第1話

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それが不気味で気持ち悪くて、自然と足を早める。 幽霊とかは信じる性格ではない、でも幽霊なら良かったという事もある。 死んでいる人間より生きている人間の方が怖い。 俺はそれをよく分かっている。 こんな気持ちになりながら毎日登校するのかと今から不安になる。 誰も見ていない、これは自意識過剰なだけ。 勘違いなんだ、絶対そうに決まっている。 オドオドしていたら余計に人の注目を集めてしまう。 だから堂々と歩けばそんな勘違い、気にならなくなる。 もう高校生なんだ、一人で何でもやりたくて一人暮らしを始めたんだ。 まだ日にちは経っていないが、やっと一人暮らしに慣れ始めてきた。 大家さんもいい人で、今のところ不自由はそれほどない。 まだ自炊には手間取るが、それは大した問題じゃない。 今まで生活してきて視線を感じた事がなかった。 だから学校でだけそんな事を感じるのは、緊張したからなのかもしれない。 新しい高校生活に不安だった、それだけだ。 家に帰ればきっと今までと変わらない。 俺が唯一気にしないで休めるのは家だけか。 俺の横をランドセルを背負った子供達が楽しそうに走っていった。 近くの小学校の子達だろう。
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