第1話

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時々、思う事がある。 あの時、間違えなければどうなっていたんだろう。 学校でのあの出来事さえ間違えなかったら、俺の性格は明るくなっていただろうか。 いや、違う…もっと昔だ…もっとなにか大事な出来事があった筈だ。 思い出すのは、外の風景だった。 そこにあったのは血に塗れた……木? 頭が激痛に襲われて、よろけて電柱に手を付いて息を吐いた。 通りすがりの人に心配されたから、大丈夫ですと言って歩き出した。 無意識に思い出す事を拒否しているようだった。 あれが彼と関係あるのか分からない。 でももう思い出すのはやめよう。 どんなに思っていても、過去は決して変わらない。 それに一瞬思い出した光景はいいものではないと俺にも分かる。 今に生きている俺には、先に進むしかない。
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