2709人が本棚に入れています
本棚に追加
※桃宮和音視点
満天の青空に照らされながら憂鬱な気分で学園に向かう。
自然と一歩一歩が重く感じる。
昨日今日でどんな顔をして凪沙に会えばいいか分からない。
特に喧嘩した覚えがないのに、会いづらい。
無理して会わなくていいけど、同じ教室だから顔を合わせるのは当然だ。
だから、会いたくなくても会わなければいけない。
トボトボと歩いているとバンッと背中を叩かれた。
考え事をしていたから余計に驚いて心臓が止まるかと思った。
なんか昨日も同じことがあったような…
つい変な声が出てしまった。
周りの人達も何事かとこちらを見ていて、恥ずかしくて早くこの場から離れたい気持ちだった?
周りの人はすぐに俺に興味がなくなり、歩いて行った。
ヒリヒリする背中を擦り後ろを見る。
そこにいたのは友人だった。
「おっはよ!和音!」
「…おはよう風太」
いつも明るい風太が眩しくて目を瞑る。
昨日の事を気を使ってくれてるんだろうが、それを感じさせない自然な風太がキラキラと眩しく感じる。
暗い事を悩んでいる俺が変だなと思わせてくれる。
風太にはそんな力があるように感じた。
ニコニコする風太を見ていて隣に誰かがいる事に気付いた。
黒髪眼鏡の少年で、やや疲れてるようなげっそりとした顔をしていた。
クラスでは見た事がないから違うクラスの人だろうと考える。
風太と対照的に見えるけど、風太が楽しそうに話しかけているから仲がいい。
初対面の相手には緊張するけど、風太がいるなら大丈夫だ。
でも、なんでだろう…俺を見る顔がちょっと怖い。
面倒そうな顔にも見えるから、ただ面倒だっただけかもしれない。
突然知らない人と会ったら緊張するよね、俺もそうだから分かる。
最初のコメントを投稿しよう!