第2話

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黒髪眼鏡の少年は重いため息を吐いた。 それだけで、ビクッと身体が反応してしまう。 風太だけが、俺達の間にある空気に気付いていなかった。 俺に対して分厚い壁を作っているように感じる。 怖かったけど声を振り絞って、風太に聞いてみた。 「風太、その人は?」 「あぁ!コイツは僕の幼馴染みの松田(まつだ)椿(つばき)、さっき一緒になったから連れてきた!」 「…いい迷惑だ」 椿と呼ばれた少年は本当に嫌な顔をしていて俺から目を離した。 風太の友達なら大丈夫だと言い聞かせる。 凪沙みたいなのは稀だから怯えてたら何も始まらない。 もしかしたらまた友達になってくれるかもしれない。 自分を変えるために一歩前に踏み出した。 椿くんに向かって手を差し伸ばす。 長かったのか短かったのか、沈黙が包み込む。 風太も紹介したから二人を見守っていた。 向こうばかりが知っていたら不公平だと口を開いた。 「は、初めまして…桃宮和音です」 「……桃宮?」 椿くんは一瞬驚いた顔をして、すぐに表情を変えた。 さっきよりも眉を寄せて、顔をしかめてこちらを見ている。 凪沙に感じた怖さとは別の怖さだ。 凪沙というより、俺を見る周りの人の目のようだ。 俺の昔のトラウマを呼び覚ますような…そんな敵意に満ちた目。
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