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桜が舞う門の前に立っていた。
私立 聖帝学園、名門中の名門と噂される学園だった。
何も特別な事はない、勉強さえ出来れば入れる。
友達がいないと暇で勉強ばかりしていたから自然と頭は良くなった…どうせならと両親と担任のススメで名門私立を受験する事になった。
受かったが聖帝学園では中学では頭が良かった自分でも平均値だった。
首席の奴は化け物なんじゃないかとすら思う。
まぁ、そんな事自分には関係ないんだけどね。
桃宮和音、それが俺の名前である。
昔のトラウマを忘れられない可哀想な人だと自分でも思う。
聖帝学園に一歩踏み出し、きっと中学と同じ誰にも関わらずだらだらと毎日を過ごすだろう。
人と関わるのは疲れてしまった俺にはそれがいい気がする。
でも、本当は…ちょっと寂しいかな。
入学生がグループで固まっている中、通りすぎる。
自分の教室を調べるために下駄箱前に置いてあるホワイトボードに貼られたクラス表を見る。
周りの人達は同じクラスとか違うクラスだとかで騒いでいた。
そして自分の名前を探している時、ある人物の名前を見て血の気が引いた。
まさか、そんな…いるわけない…だって…だって彼は…
ホワイトボードの前で固まっていたら、後ろから大歓声が聞こえた。
振り返りたくなくてホワイトボードの後ろに隠れると声だけが聞こえる。
「なぁアレが噂の要中学の王子か?」
「生で見たの初めて!超かっこいい!」
「隣にいる美少女は誰?彼女?」
「そうそう、確か名前は…」
要中学といえば俺の中学の隣の中学校だ。
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