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俺と椿はお互い気の抜けた声を出して、顔を見合わせた。
なんで和音が同じクラスになるんだ?椿とは隣のクラスだろ。
一瞬、二人の間だけが時が止まったような気がした。
ほら見ろ、やっぱり勘違いで和音じゃなかったんだと椿を見てニヤリと笑った。
さっきは言い合いしていたが、別に僕は椿を責めたりしない。
友達を馬鹿にされたら誰でも怒るのが自然というものだ。
間違いは誰にでもあるんだから、椿がする事は一つだ。
「椿、和音に謝ろう」
「…分かった」
素直に椿は頷いて、俺は和音を追いかけようと和音が走った方向を振り返った。
当然そこにはもう和音の姿はなく、車が走り去る音だけだった。
すぐに追いかければ良かったが、椿がなんで和音にそう言ったのかの方が気になっていた。
和音は一人になりたいから逃げ出したんだと思うからこれでいいんだ。
追いかけようにも、和音の家を知らないから追いかける事が出来ない。
そうなると、諦めるのも早くて椿と一緒に学校に向かった。
学校に行けば会えるから、待っていればいいんだ。
今日休んでも明日来る、ずっと休んでいたら和音の家に行く口実が出来る。
二度と会えないわけじゃないから、焦らなくても大丈夫だ。
「ねぇ椿、椿が言ってた桃宮くんって和音に似てるの?」
「見てない、まだクラスメイトの名前を全員知らないから」
「もう、勉強だけじゃなくてそういう事もちゃんとしないとダメだよ!」
「…本当に悪いと思ってる」
椿の気分がどんどん落ち込んでいってるから、このくらいにしておこう。
椿も和音同様に俺がいないと何も出来ないんだから。
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