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逃げる事ばかり考えていたら、風太に腕を掴まれた。
逃げられなくなり、顔が青ざめていく。
俺達を見つけると気まずそうな顔をして近付いてきた。
さっきまでの敵意の目ではなくなっていた。
「…あ、その…すまなかった、俺のクラスにも桃宮って奴がいて」
「え…あ、ううん…気にしてないから」
「本当に悪かった」
頭を下げられて、びっくりして頭を上げるように言った。
椿くんの話によると、隣のクラスの桃宮くんと勘違いしたらしい。
確かに桃宮なんて珍しい名前を聞いたらそうなるのかもしれない。
俺を敵意したのは誤解だと分かって、ホッとした。
椿くんは本気で謝ってくれて、俺はもう平気だった。
正直凪沙に気を取られていて椿くんの目は怖かったけど、凪沙に比べたら大丈夫だと分かった。
やっぱり一番怖いのは凪沙だと改めて思った。
俺も何も言わず居なくなった事を椿くんに謝った。
すると今度は椿くんから手を差し伸ばされて、さっきは出来なかった握手をする。
これで仲直りだと風太は喜んだ。
暖かな手の温もりに安心する。
椿くんは正反対じゃない、風太の友達だと思った。
「じゃあ仲直りしたところで、昼飯は三人で食堂に行こう!」
「は?俺は予習が…」
「椿は勉強ばかりしてるからガリ勉椿って言われるんだよ」
「そう言ってるのはお前だけだ!」
何だか楽しそうに会話する二人が羨ましかった。
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