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幼馴染みと言っていたから、普通の友達より絆があるんだろう。
幼馴染みか…普通の幼馴染みはこんな感じなんだろう。
凪沙が異常なだけだよね。
昔から凪沙と喧嘩なんかした事がなかった。
凪沙は俺がする事全てを受け入れて、笑っていた。
トラウマになる前は凪沙の事を優しいと思っていた。
でも、今思うと俺は凪沙とこうして喧嘩をしたかったのかもしれない。
他の友達と喧嘩をする事はあった。
その時凪沙は必ず俺の味方になった、何も俺の話を聞いていないのに相手が悪いと言っていた。
さっきまでムキになって言い合いしていた友人も、凪沙が言っている事を言い返す事はしなかった。
凪沙が全て正しいと言っているような異常な光景だ。
それから、俺と喧嘩する人は誰もいなくなった。
俺と喧嘩をすると凪沙に嫌われると…
まるで腫れ物のように遠ざかっていくのが分かる。
子供の時の俺にはそれが耐え難いものだった。
凪沙をわざと怒らせようとした事もあった。
でも凪沙は怒らなかった。
俺がほしい相手は何でも許してくれる人じゃない、対等に喧嘩が出来る相手だ。
他の人には怒るのに、俺には怒らないのはなんでか。
お母さんが言っていた、叱るのは愛情なんだと…
凪沙は俺が嫌いだから怒らないのか。
凪沙の笑みが機械のように冷たく、生きている人間には見えなかった。
何を思って俺と喧嘩をしないのか、それを知っているのは凪沙だけだ。
そして短い休み時間は終わり、椿くんは隣のクラスに帰っていった。
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