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※白川凪沙視点
昼休みになり、隣のクラスの桃宮に会いに行こうと立ち上がった。
休み時間に教室に来ていた眼鏡の男はももちゃんと握手した事は許さないけど、岸風太ほどベタベタしていないからとりあえず無害だろう。
ももちゃんが教室を出るのを見送り、自分も教室を出た。
隣のクラスに行き適当な奴に声を掛けて桃宮を呼び出してもらう。
ただ呼び止めただけなのに、顔も知らない相手は声が裏返っていた。
俺が声を掛けただけでそんなに驚くなよ。
教室を覗くと騒がしい声がより激しくなった。
隣のクラスまで俺の噂が知れ渡っているのか。
面倒くさい。
桃宮であろう人物に声を掛けてる奴をジッと見る。
桃宮は面倒そうな顔をして、こちらを向いた。
すぐに顔色を変えて、知り合いだったかのようにこちらに手を振っていた。
…アレがももちゃんと同じ苗字の奴?似てなさすぎて笑う。
結局は名前だけの存在だ、最初から分かっていたけど。
誰にも変わりなんていない、唯一無二の存在だから。
俺のところに来た桃宮は頬を赤ながら見上げていた。
すぐに目を逸らして、自分で呼んだけど帰りたい気分だった。
一応同じ苗字だから一目だけ見てみようと思った自分がバカだった。
顔は年上受けしそうな幼い顔立ちなのに色気もある。
それが俺にとって反吐が出る容姿だった。
慣れたような媚びを売るような視線に耐えられそうもない。
あの純真無垢なももちゃんと比べるのはあまりにもももちゃんに失礼なほど、隣のクラスの桃宮は汚れていた。
同じ名前というだけで腹立たしいのに、こんな奴が…
そのまま無視をして立ち去る事も考えたが、俺が今までやって来た事が無駄になりそうだから考え直す。
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