第2話

18/36
前へ
/332ページ
次へ
やっぱり俺の桃宮はももちゃんだけだ。 ももちゃんの家族も桃宮だけど、俺にとっては一人だけ。 それは昔も今も、何一つ変わってはいない。 あぁ、ももちゃんに会いたい。 「あっ!凪沙!こんなところにいた!」 「……お前じゃない」 「…?」 ももちゃんは食堂に向かったから自分も行こうとしたら邪魔な女がやって来た。 適当に付き合ってるだけだし、今は本物のももちゃんがいるから無視すると腕に絡みついてくる。 蛇みたいで気持ち悪かった。 突き放す事も出来るが、突き放しても何も変わらない。 いつの間にか突き放す体力も無駄になると考えた。 言葉の通り、なにかする事は最初から永遠にない。 さっさと別れれば済む話なんだが、そう簡単な事ではない。 女避けのために利用するだけで、もう必要はなかった。 そもそも付き合う条件があり、それを了承した筈だった。 高校からももちゃんと会うんだ、変な奴がいたら嫌だと思った。 高校になったら別れる条件で、付き合った…相手も俺が本気ではない事くらい分かっている筈だ。 高校に入りももちゃんと一緒にいられて、何度別れ話をしたのか。 その度にすぐに話題を変えて人の話を聞かない。 俺の条件を忘れたのか、コイツの場合ワザとの方だろう。 別れ話だと察するスピードはやたら早いからな。 そのまま自然消滅も考えたか、俺に絡んできて自然消滅もさせてくれない。 酷く嫌われるような事をすれば、勝手に失望して離れてくれる。 でも、それだと俺のイメージが悪くなり周りの奴らが使えなくなる。 女と別れるより、そちらの方が惜しいから下手な別れ方が出来ない。 だからいい方法が思い付くまで放置している。 決定的な別れ方をすれば二度と俺に近付かないだろう。 俺のイメージを良くして相手と別れるなら、俺の知らないところでなにか起きればいい。 ただ待っているだけだと、何も起こらないから自分で仕掛けなくてはいけない。 ももちゃん以外で頭を使いたくないが、俺が適当だった結果だ…俺が何とかしないとな。 コイツを連れて食堂に行くと変に目立ちそうだし、突き放すといろいろと面倒な事になるから仕方なく教室に戻る。 そこまでお腹は空いていないから、別にいいか。
/332ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2709人が本棚に入れています
本棚に追加