第2話

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教室には弁当を食べている生徒が何人かいて、俺に気付くと手を振っていた。 友達でも何でもないが、周りは勝手に俺を友人としている。 誰がなんて思おうが、どうでもいいから放っておいている。 ももちゃんと俺の邪魔をしないならなんだって良い。 自分の席に座ると、あの女以外にも数人集まってきた。 話を始めても、何も答えずに自分のしたい事をする。 イヤホンを耳に付けると「何の曲?」と聞いてきたから、自分の唇に人差し指をつけて「シッ」てやると黙った。 何を勘違いしたのか、顔を赤らめていた。 単純な頭で助かった。 話を始めるのは勝手にすればいいけど、俺の幸せな時間だけは邪魔するな。 音を聞き逃さないように耳をすませる。 小さい音でも、ももちゃんの声だけは聞き逃さない。 ももちゃんだけの声でいいのにももちゃんの周りも雑音だらけだ。 誰かと会話をしているのか、いつもより声が明るく感じる。 イライラする…中学までももちゃんの周りを排除してきたのに… 会えた嬉しさで大事な事を忘れていた。 少しでも気を緩むと、何処かに飛んで行ってしまう。 それだけ、脆く崩れそうな関係を維持してきた。 まぁいい…ゆっくりゆっくりこちらに引きずり込めばいいのだから… 依存はどんな関係よりも、重くて抜け出すのが難しい。 普通の関係ような脆いものなんて望んでいない。 小学生の頃に、嫌というほどそれを思い知らされた。 俺だけがももちゃんの味方だよとアピールするだけではダメだ。 誰に会って、何処に居ても俺を思い出す関係でないといけない。
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