第2話

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それがたとえ恐怖という感情であっても嬉しい。 俺という沼に引きずり込んで、息も出来ないくらい包み込んであげる。 「…ふふ」 「何?なんかいい事あった?」 「………別に」 この場にいる誰にも関係ない話だ、割り込まないでほしい。 イヤホンの中でも外でもいらない雑音が聞こえてくる。 まぁ、ももちゃんの声を聞くには誰かがいないと聞こえないんだけど。 俺にはあまり話してくれないから寂しい気持ちがある。 昔はあんなに嬉しそうに俺の名前を呼んでいたのに。 その時から、俺はももちゃんを独りぼっちにしたかった。 だって、俺以外がももちゃんに話しかけるのは耐えられない。 それは教師も同じだ、誰だって他人がももちゃんに話しかけていいわけがない。 俺だけのももちゃんなのに、なんで皆分からないんだろう。 だから俺は、昔からかくれんぼが大好きなんだ。 小さな箱の中に隠れているももちゃんを見つけたら俺のもの。 箱から出さないで、奥に奥に埋めて全身で守りたい。 それはかくれんぼでなくてはいけない、鬼ごっこではダメだ。 昔の俺は体力がなくて、ももちゃんに追いつく事が出来なかった。 遠くに離れてしまう背中を見ると、絶望感で消えてしまいたくなる。 ももちゃんに捕まえられるのは嬉しいけど、追いかけるのは嫌いだ。 今なら体力はあるが、捕まえられなかった時を考えるとやりたくない。 かくれんぼなら、見つかるのも見つけるのも好きだ。 俺はずっと待ってるよ、ももちゃんがもう一度見つけてくれるまで… あの日のあの場所で、ずっとかくれんぼを続けている。
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