第2話

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俺は子供の頃から好きな料理で、今もずっと好きなんだ。 椿くんは呆れつつもカツ丼にしてウェイターを呼ぶ。 それに風太は「椿も似たようなもんじゃん!」文句を言っていた。 言い合いが始まる前に、すぐにウェイターの格好をした若い男の人が注文を聞きに来た。 来た事がある椿くんが注文してくれて、ウェイターが頭を下げて歩いて行った。 来るのを楽しみにしながら三人で大人しく待っていた。 楽しいな…こうして友人達とわいわいしながら食事をするのは… 小学校、中学校では想像すらしていなかった。 こんな普通が俺にもあるんだなって… 食堂には人が沢山いたけど、食べる事とは別の目的がある人がほとんどのように思えた。 料理を注文していても、何処かソワソワと周りを見渡していた。 俺のような挙動不審というわけじゃないだろうし、なにかあるのかな。 椿くんと風太はウェイターが料理を運ばれてくるまでさっきの続きの言い合いを続けていた。 美味しそうな料理が運ばれてきて、手を合わせた。 椿くんは勉強熱心なのか、食べながら参考書を開いてノートにペンを走らせていた。 同時に二つの事をしている椿くんを見て凄いな…と感心していた。 でも風太は嫌な顔をしていた。 「椿、食べてる時くらいどうにかなんないの?」 「うるさい、風太も勉強したらどうだ?少しはバカが直るんじゃないか?」 「うっ…」 風太は椿くんを睨みエビフライをもぐもぐしている俺のところに行き、椿くんの悪口を言いまくり椿くんによりノートで殴られていた。 また言い合いが始まったけど、本気で喧嘩をしているんじゃなくて戯れているようだった。 風太が俺が一人になっている事に気付いて「ごめんね、せっかく食べにきたのに」と言っていたが、俺は全然気にしていない。 幼馴染みの間に無理矢理入ろうとは思ってない。 二人が友達になってくれて、本当に良かったとそれだけだった。 そして食事が終わる頃、食堂が何やら騒がしくなった。 女の子達のはしゃぐ声だけではなく、男の歓声も聞こえた。 誰かが食堂に入ってきたのか、周りの人達は同じ場所を向いていた。
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